【独占】アーガイル・ストリート・マネジメント キン・チャンCIOインタビュー | ページ 2 / 2 | QuestHub Insights

【独占】アーガイル・ストリート・マネジメント キン・チャンCIOインタビュー

頑固な紳士

日本国内における〝物言う投資家〟への見方は徐々に変わってきているとは言え、海外投資家が日本の風土に合わない攻撃的なやり方でひんしゅくを買った事例が多かったのも事実だ。ASMのキン・チャン氏は腰の低い、対話重視の〝日本的な〟姿勢でサンテックやTKKなどの経営陣の信頼を得て、相互の利益を生み出す投資手法を提示している。

また、チャン氏とASMが日本の市場へ投資資金を提供するのは株式投資だけでなく、対日不動産投資も含まれる。例えば、ASMが筆頭株主としてその経営に関わったシンガポールの不動産投資信託であるサイゼン REIT は日本の各地に立つ135棟のマンションを購入し、所有していた。チャン氏はサイゼン REIT の日本のポートフォリオを管理する会社の取締役として物件のある日本の13都市を回り、現場を視察した。サイゼンREITは2015年に米国の投資ファンドに日本の全ポートフォリオを売却して、投資家に多くの利益を還元した。当該案件において、ASMの日本の提携先であるノースイースト・キャピタルマネジメント株式会社がファイナンシャル・アドバイザーを務めた。

ASM はこのように日本の投資市場に対してそれぞれの形で資金を導いている。案件ごとに多くの時間と労力を投入することになり、辛抱を要する仕事だ。徹底的に調査したうえで提案を作成し、投資先に提出し、交渉を行い、うまくいけばその末に投資が成立する。サンテックTKK のようにわりと早い段階で投資先の経営陣の理解が得られる場合もあれば、説得により時間がかかる場合もある。後者の一例として、現在、ASM がすでに投資しており、事業改革案を持ちかけている株式会社長府製作所が挙げられる。

「香港は〝南方〟の連想が強くて、暖房が要らない、と思われがちですが、冬は寒いですよ。また、だいたいの家は中央暖房装置がなくて、スペースヒーターが必要です。そこで、日本製は性能がダントツですが、意外に市場に浸透していません」


(キン・チャン最高投資責任者)

この問題意識を持つチャン氏の目が止まったのは、株式会社長府製作所。同社は1954年に山口県下関市に設立され、空調機器と給湯機器の製造販売で有数の企業としての地位を築いてきた。東証第一部に上場しており、2018年12月期に売上は457億円に上った。

ASM は長府製作所の時価総額が同社の純金融資産さえ下回っている事実を証拠に挙げて、長府の株式が大きく過小評価されていることを指摘し、次の 6 つの対策を提案している。
1. 自己資本利益率(ROE)をはじめ、重要経営指標(KPI)を設定すること
2. 総資産の 65%以上占める過剰の金融資産を自社株買いや特別配当で減らし、資産の効率を高めること
3. 合弁会社などの提携で主力事業の強化を図ること
4. 海外市場を開拓し、現在、総売上に5%未満しか占めない海外の比重を大きく拡大すること
5. 独立社外取締役を増やし、経営を強化すること
6. 英文の財務情報開示を拡充するとともに、IR活動を積極的に展開し、海外の投資家の間で長府製作所の認知度を高めること

無茶な提案には見えないが、簡単には全くもって受け入れてもらえないようだ。チャン氏が 2018年10月にこの提案を長府に提出したが、話は平行線に終わってしまった。しかし、本人は諦めず、説得に努め続けている。「彼らはなかなか頑固です。だけれど、私も頑固ですよ」と笑顔で言いはなった。

アーガイル・ストリート・マネジメント・リミテッド〝ASM〟(2019年3月時点)
創業者兼最高投資責任者(CIO) キン・チャン氏
管理下の投資資金 約14億ドル
従業員 50数名
拠点
・本社 Unit 601-2, 6th Floor, St. George’s Building 2 Ice House Street Central Hong Kong
電話 +852-2106-0888
ファックス +852-2868-3082
E-mail [email protected]
URL www.asmhk.com
・事務所 インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、米国
・提携先 日本(ノースイースト・キャピタルマネジメント株式会社)、中国、他

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