サッカー仏代表ムバッペ擁する仏PSG×バルクオムが実現した本当の理由 | QuestHub Insights

サッカー仏代表ムバッペ擁する仏PSG×バルクオムが実現した本当の理由

 男性用化粧品を開発・販売する株式会社BULK HOMME(バルクオム)は6月17日、パリ・サンジェルマン(以下、PSG)に所属するフランス代表のキリアン・ムバッペ選手を同社のグローバル・アンバサダーとして起用することを公式サイトで発表。また、同時にムバッペ選手が所属するPSGと2年間のアジア地域におけるパートナーシップ契約を結んだことも明かした。PSGの収入を分析すると、同クラブの海外展開の必要性が見えてくる。
(QuestHub Insights編集部)


BULK HOMMEとアンバサダー契約を交わした仏PSGのキリアン・ムバッペ選手
(同社公式サイト https://bulk.co.jp/より)

デロイトトーマツが発表した資料Football Money Leagueによると、PSGの2017-18シーズンの年間収入は5億4200万ユーロ(約660億円)である。これは欧州5大リーグ(プレミアリーグ(イギリス)ラ・リーガ(スペイン)セリエA(イタリア)・ブンデスリーガ(ドイツ)・リーグ・アン(フランス))に所属する全クラブ中6位である。しかし各クラブの収入を入場収入・放映権収入・商業収入の3つに分類したとき、PSGは他の収入上位クラブよりも放映権収入が圧倒的に低いことが分かる。

各クラブの収入上位10クラブの収入内訳が下記グラフである。

PSGの放映権料収入は上位10クラブで最も少ない

PSGの放映権料収入は上位10クラブの中で最下位であり、合計収入がPSGより低い7位のリヴァプールの放映権料収入よりも半分以下という少なさである。

ではなぜPSGの放映権料収入はこんなにも安いのだろうか。
一般的に各クラブの放映権収入は、リーグが提携先の放送局等から収入を得て、それを所属クラブに分配することで得られる(分配方法は各リーグによって異なる)。
PSGの放映権料の低さは、PSGが所属するフランスのサッカーリーグ、リーグ・アンの放映権料の安さに依存している。

 5大リーグの2017-18シーズンの放映権料は、以下の通りである

プレミアリーグ(イングランド):32.1億ユーロ(約3930億円)
ラ・リーガ(スペイン):16.0億ユーロ(約1960億円)
セリエA(イタリア):12.9億ユーロ(約1580億円)
ブンデスリーガ(ドイツ):12.4億ユーロ(約1520億円)
リーグ・アン(フランス):7.9億ユーロ(約970億円)
(収入が多い順)

リーグ・アンの放映権料はプレミアリーグのおよそ4分の1、ラ・リーガのおよそ半分であり、他リーグと比較して圧倒的に少ないことが分かる。
リーグ・アンの放映権料が低いのは、リーグアンbeIN Sports(カタールのスポーツ専門チャンネル)と安価な契約を長期で結んでしまったためである。

PSGはムバッペ選手に加えてブラジル代表のネイマール選手を抱える。また直近5シーズンで4回リーグ優勝を果たすなど、フランス国内では圧倒的な人気と実力を誇っている。入場収入と商業収入は他の欧州の収入上位クラブと比較しても引けを取らない数字を出しており、クラブの収入を増やすには放映権収入を他上位クラブの水準まで引き上げるしかない。

リーグ・アンの放映権収入の分配は、50%が全チームに平等に、30%がチームの成績を反映して、20%が視聴率を反映して分配される。PSGの成績は言わずもがなトップであるため、収入を上げるには残りの視聴率を上げるしか方法がない。
PSGにとっては、リーグ・アンが放送局とより高い金額で放映権契約を結ぶために、海外ファンの多さをアピールする必要がある。

PSGはここ数年で海外展開を急速に進めており、アジア展開もその一環である。
アジア展開の中で一番始めに乗り出した先は中国である。PSGは2013年にWeiboWechatのアカウントを開設。Weiboアカウントは現在およそ165万人のフォロワーがいる。
また、アジア展開の拠点として昨年シンガポールにアジアオフィスを設立した。
日本においては、ヨーロッパクラブの中で初めて日本に公式ストアをオープン。また4月から日本語サイトと日本語版Twitterの運用を開始した。LINEアカウントの開設も予定しているという。

現在日本で人気のレアル・マドリードマンチェスター・ユナイテッド等の海外クラブは、過去に日本でのマーケティングに力を入れていたことが多い。
例えばレアル・マドリードは、2002年から2005年にかけて毎年来日し、Jリーグのクラブと親善試合を行ったり日本のコマーシャルに出演したりと、日本での露出を増やしていた。
またマンチェスター・ユナイテッドは2012年に日本の企業と次々とスポンサー契約を結び、翌年2013年に来日、Jリーグのクラブと親善試合を2試合行った。

PSGにとってアジア展開はさらなる増収のための重要なステップであり、バルクオムとのパートナーシップ契約もこれからの日本のファン獲得に向けての一歩であると考えられる。

ムバッペは昨年のロシアで開かれたFIFAワールドカップに19歳の若さで初出場を果たすと、4得点を決めフランス代表の20年ぶり2回目の優勝に大きく貢献。その若さと爆発的なスピードが話題を呼び、日本でも一躍その名が知れ渡った。
PSGにはムバッペのほか、ブラジル代表のネイマール(前バルセロナ)やウルグアイ代表のカバーニ(前ナポリ)らも所属。前線の選手を中心に大型移籍で補強を進めていることから日本でもその知名度は徐々に増している。
ただ、レアル・マドリードマンチェスターUをはじめとする欧州のトップクラブと比べると、PSGの日本での認知度はまだまだ低い。バルクオムとの契約は、PSGが収益や認知度などの面でトップクラブと肩を並べるための試金石となりそうだ。

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