ニュースアプリのGunosyが“クーポン推し”にひた走る理由 | QuestHub Insights

ニュースアプリのGunosyが“クーポン推し”にひた走る理由

 「あ、これゼロ円じゃん!」女性がスマホ画面をスワイプし、数あるクーポンの中からコーヒーの無料クーポンを見つける。ニュースの「ニ」の字も無いテレビCMだが、これはニュースまとめアプリ「グノシー」が2月に放映した広告だ。

グノシーがニュースアプリを辞めてクーポンアプリに鞍替えしたわけではない。昨年12月にアプリ内機能の一つとしてクーポンの提供を本格的に開始したものの、グノシーの主要機能がニュースまとめという点は変わっていない。ではなぜ、グノシーがクーポン推しをするようになったのか。運営会社であるGunosy(本記事では、会社をGunosy、サービスをグノシーと表記する)の決算資料から、グノシーがクーポン推しをする狙いを読み解いてみよう。
(QuestHub Insights編集部 渡辺拓未)

決算資料から分かることはまず、Gunosyが全社を挙げて熱烈にクーポンを推しているということだ。今年4月に公表された2018年度第3四半期決算説明会資料では、全34ページの資料内で実に26回も「クーポン」という言葉が使われている。

さらに、クーポン施策はグノシーだけでなく、同社がKDDIと共同運営しているメディア「ニュースパス」「ルクラ」へも導入を進めており、さらに、同社はクーポン訴求CMに投入する広告費を約3億円積み増したことを理由に2018年度利益予想の下方修正も行っている。

背景にあるのが、中核サービスであるグノシーの成長鈍化だ。Gunosyの2018年度第3四半期売上高は前年同期比41.9%増の111億円と高成長を維持しているように見える。一方で利益率は悪化傾向にあり、営業利益率は2期前と比較して2.7%ポイント下落。売上総利益率の悪化は更に大きく、2期前と比較してマイナス13.5%ポイント下落している(下図)。


これはどういうことかというと、収益構造の変化に起因している。Gunosyは自社でメディアを運営しているほか、アドネットワークと呼ばれる複数メディアへの広告一括配信システムを有している。それらを用いた内外メディアへの広告配信が主な収益源だ。それらを大別すると以下のようになる。
1.単独運営メディア上での広告配信(グノシー
2.KDDIとの共同運営メディア上での広告配信(ニュースパスルクラ
3.アドネットワークを介した他社メディアへの広告配信

これらのうち最も収益性が高いと見られるのは1のグノシー上での広告配信だ。共同運営メディアであれば提携先であるKDDIと収益を分配する必要があり、アドネットワークの場合は他社から広告枠を購入してくる必要があるからだ。

グノシーからの収入を拡大させるために最も重要なのが、アプリユーザーの拡大だ。しかし、グノシーアクティブユーザー数は直近2年ほど一進一退が続いた(下図)。

出所:グノシー決算説明資料https://ssl4.eir-parts.net/doc/6047/tdnet/1691913/00.pdf

グノシーの停滞を補う形でニュースパスルクラ、他メディアへのアドネットワーク収入が拡大したことで全社的な売り上げは成長を続けてきた。それに伴い広告枠購入や収益分配コストも増加、結果として利益率が低下していったというわけだ。

今後より一層の利益成長を目指す上で重要となるのが、収益性に優れるグノシーの再成長だ。ただ、グノシー規模のサービスを再成長させるのは簡単ではない。グノシーはこれまでも恒常的にテレビCMなどの広告宣伝を行ってきており、ダウンロード数自体は今でもコンスタントに獲得できている。一方で、既存ユーザーの離脱も常に一定発生するため、新規獲得と離脱が相殺されてしまっているのが現状だ。

当然、無尽蔵に広告を投入すればユーザー数を増やすことはできる。しかし、広告を投入すればユーザーの獲得効率は悪化し、事業の収益性は悪化することになる。再成長に向けたユーザー獲得を強化するためには、今以上に効率的な宣伝手法が必要となる。そこで出てきたのが「クーポン訴求」だった。

気になるのは「ニュースメディアがクーポン訴求の広告を出してどれだけの効果があるのか」ということだが、Gunosyによる効果測定によると、クーポン訴求広告は通常広告の約66%の期間で投資回収が見込めるという。このクーポン効果を確かめた上で、広告費の追加投入を決めた

ただし、クーポン訴求がいつまで鮮度を保ちつづけるかは注視する必要がありそうだ。というのも、クーポン訴求自体は今となっては珍しい手法では無くなっているからだ。グノシーの競合であるスマートニュースを筆頭に、LINEヤフージャパンなどもクーポン機能を導入している。各社のクーポンを比較しても、利用可能店舗、割引金額ともに似通っており、差別化は簡単ではなさそうだ。

さらに、QR決済サービス「LINE Pay」「PayPay」を擁するLINEヤフーは今後一段とクーポン訴求を積極化すると見られる。今後の展開次第ではGunosy側も対応が必要となりそうだ。

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