不祥事に揺れるレオパレス21、それでも潰れない「底力」 | QuestHub Insights

不祥事に揺れるレオパレス21、それでも潰れない「底力」

 施工不良問題で連日のように紙面を騒がせていた株式会社レオパレス21。同社のアパートは隣の部屋に話し声が聞こえるほど薄い壁が特徴的と長らく噂されてきた。そうしたなか2018年4月にマンションの施工不良が発表され、5月にテレビ東京の番組『ガイアの夜明け』で屋根裏に界壁がない違法建築ぶりが映像で鮮明に報道された。また、19年2月にも再度『ガイアの夜明け』に取り上げられ、当初会社が公表していた以上の施工不良が存在していたことが暴かれた。一連の報道を受け株価は一時、不正発覚前の5分の1近くにまで落ち込んだ。
5月にはあの「モノ言う株主」として名をはせた村上世彰氏が率いるレノがレオパレス21の株式を16%近く取得したことが発覚。その直後には取締役陣の刷新が発表された。
こうしてニュースに事欠かないレオパレス21については債務超過や倒産の噂まで囁かれるが、同社の公開情報を緻密に分析すると、意外なまでの「底力」が見えてきた。
(QuestHub Insights編集部)

業態転換に成功し、稼げる会社になったレオパレス21

同社の最大の特徴は「サブリース」というビジネスモデルである。これは、正式には「一括借り上げ方式」と呼ばれる手法である。わかりやすく言うと、レオパレス21が賃貸住宅を建てそのままレオパレス21が「一括」で建物全体を借上げ、入居者がいようがいまいが一定の賃料を毎月オーナーに支払うシステムだ。


図1:レオパレス21公式ホームページより
(https://www.leopalace21.jp/land/apartment/system/sublease.html)

オーナー側からすると、余っていた土地を有効活用できる上、入居者の募集から契約、そして建物管理までレオパレス21に任せたうえで、安定した賃料を得ること出来る。

その一方でレオパレス21側には、自社で土地や建物を購入する必要がないため、たくさんの資産を抱えた状態でビジネスを行う必要がなく、ローリスクの経営が行えるメリットがある。

実はレオパレス21は、元々賃貸事業(サブリース)だけでなく、通常の開発事業、つまり不動産建築の請負も行っていた。過去のレオパレス21のセグメント別売上を見てみると、06年には賃貸(サブリース)の売上に占める割合はわずか42%にすぎなかった。この比率は08年のリーマン・ショック後急激に増加し、12年以降は実に売上の80%以上が賃貸(サブリース)で占められる。


この背景には、レオパレス21のリーマン・ショック時の苦い記憶がある。決算説明会の資料によると、レオパレス21は11年3月期より、開発事業と賃貸事業のバランスを取り安定的な収益体質へ転換することを基本方針として掲げている。


図3:レオパレス21決算説明会資料より
(https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/presentation/2011/kessan.pdf)

結果として、レオパレス21の収益性は飛躍的に改善。特に、賃貸セグメントの営業利益率は-14.0%から不祥事前には6.0%まで回復した。

営業利益率もさることながら、本業によって一定期間に稼いだ現金を示す「営業CF」は更に優れた数値を示している。不祥事発覚前は毎年、実に250億円以上の現金を稼ぎ出していた。これは、時価総額ベースでは約9倍のファッションEC最大手のZOZOに匹敵する水準である。

「入居率」がレオパレス21の生き死にを決める

業態転換に成功し、「稼ぐ力」を身に着けたレオパレス21であるが、不祥事の発覚後は当然株価が低迷し、一時は直近3年の最高値の1/5近くまで落ち込んだ。


図6:TradingViewから当社作成

ただ、今後のレオパレス21の業績と株価を考えるうえで最も重要な指標の一つがレオパレス21の入居率である。

なぜなら、冒頭に説明した通り、レオパレス21は「サブリース」している物件の入居者から受け取る賃料と、オーナーに支払う賃料の差分を利益として受け取るからだ。入居率が減少すると、受け取る賃料が減少してしまう一方、オーナーには一定の賃料を支払い続ける必要があるため、いわゆる「逆ざや」の状態に陥る。

今回の不祥事が発表された後、18年3月には93.7%あった入居率は2019年5月には82.0%へ、実に12ポイント近く減少した。稼ぎ頭である賃貸セグメント(サブリース)の営業利益も6割近く落ち込むなど、レオパレス21は窮地に立たされている。

一方で、レオパレス21がこのまま倒産するような事態になるかというと、一概にはそうではなさそうにみえる。実は、レオパレス21はリーマン・ショック時に今回の1.5倍の水準の入居率の減少を経験している。しかし、その後リーマン・ショック前の水準近くまで入居率を引き上げている。多くの不動産企業が倒産していくなか復活を遂げたのは驚きと言えよう。


図7:レオパレス開示資料から当社作成

底堅い需要により入居率は回復する?

リーマンショックからの入居率の回復は単なる景気回復ではなく、経営戦略によるところが大きい。レオパレスは顧客基盤を3つの方向性で進化させた。

まず、レオパレスの物件の実に6割近くが首都圏、中京圏、近畿圏の3大都市圏に位置している。首都圏だけも3割近くあり、今後も人口の減少が比較的緩やかであるとみられる地域にしっかりと商圏を築けていることが分かる。


図8:レオパレスホームページより
(https://www.leopalace21.co.jp/ir/investors/step2.html)

次に、レオパレスの物件の多くが30平米以下の単身者向け物件である。平成30年国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」によると、単身者の数は30年ごろまで増え続け、15年には1800万世帯だったのが、30年には2000万世帯まで増加すると予想されている。これにいわゆる外国人の移民なども加えるとさらなる上振れ余地が存在し、成長市場に投資できていることが分かる。


図9:レオパレスホームページ
(https://www.leopalace21.co.jp/ir/investors/step2.html)

最後に、同社の顧客基盤が多様であることが挙げられる。レオパレス21の開示資料を見ると、かつては製造業や人材派遣業が主要な顧客であったが、現在の顧客基盤はさまざまだ。例えば、レオパレス21の開示資料には法人の業種別の契約戸数が開示されている。それをみると同社の顧客が単一の業種ではなく、数多くの業種に分散していることもわかる。


図10:レオパレス2019年3月期 第3四半期決算概要より

もちろん予断は許されない。ただ、公開情報を確認しただけでも、レオパレス21の置かれている状況が報道されているほど深刻ではなく、むしろ大きな復活の可能性を秘めていることが分かる。

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