ラウンドワン、米国で戦う「第2ラウンド」 米100店舗目指す | QuestHub Insights

ラウンドワン、米国で戦う「第2ラウンド」 米100店舗目指す

ボウリングをはじめアーケードゲーム、カラオケ、ビリヤード、卓球など、多様な遊びを一つの店舗に詰め込んだ複合アミューズメント施設を展開するラウンドワン。国内で105店舗(2019年3月末時点)を運営しているが、実は目下の成長柱は米国。今年度中には全店舗の3割が米国になる見込みだ。ラウンドワンの海外戦略を探っていく。
(QuestHub Insights編集部 渡辺拓未)

ラウンドワンスタジアム板橋店、7月に編集部撮影)

国内の逆風がアメリカ事業を育てた

ここ数年の米国における出店ペースには目を見張る物がある。ラウンドワン米国第1号店をロサンゼルスに出店したのは2010年の8月。15年頃からは出店ペースをどんどん速め、直近では年間11店舗ペースで新店舗をオープンしている(図1)。20年には米国だけで43店舗もの新店舗を出す計画だ。ラウンドワンは決算説明会や株主総会で「早期に米国100店舗体制を構築」を打ち出す。これが実現すれば、約100店舗と横ばいが続く国内と同規模の事業となる。


図2: ラウンドワン2012年3月期第1四半期決算説明資料より。米国のボウリング市場への期待が見える

決算説明会で米国進出について本格的に言及し始めたのは12年3月期のこと。図2は当時の決算説明資料だ。ラウンドワンの特徴を「ボウリングを中心とした複合施設」と考えており、米国市場として説明されているのもボウリング市場。当時はボウリングに重点を置いていたことが分かる。

米国展開の背景にあったのは国内における「ボウリング離れ」だ。リーマンショックに伴う不況と市場縮小が重なり、ラウンドワンのボウリング事業の既存店売上高は2009年以降右肩下がりに。既存店の不調は同時に新規出店の抑制にもつながり、国内での事業展開には強い向かい風が吹くようになった。そうした環境で、新たな成長の種まきとして行われたのが10年の米国展開だった。
図3: ラウンドワン2019年3月期決算資料より

売り上げの主体はアミューズメント

ただし、実際の所、米国で好調なのはクレーンゲームやアーケードゲームなどの「アミューズメント」領域だ。図4の米国店舗の売り上げ構成を示すグラフの通り、ボウリングが縮小する一方でアミューズメントの構成比は年々拡大しており、2019年3月期では全体の約7割を占めるまでになっている。国内店舗のアミューズメント売り上げ比率は約46%なので、米国では国内以上にアミューズメントが人気なようだ。

もうひとつ、米国で特徴的なのが飲食の売り上げ。安定して13%程度を維持していて、これはなんとボウリングと同程度の水準だ。生ビールやワイン等のアルコール類を1杯1.99ドルで販売する「All Day Happy Hour」キャンペーンを行うなど、ボウリングやアミューズメントと一緒に楽しめるお手頃な飲食物の販売が好調なようだ。日米の文化差に上手に適応している様子がうかがえる。

また、店舗形態にも若干違いがある。ラウンドワンの国内店舗はロードサイド型の1,800~3,000坪程度の大規模店舗が主なのに対し、米国店舗はショッピングモール内への居抜き出店による1,200~1,800坪程度の中型店舗が主体。その分1店舗あたり売上高は5.1億円と、国内の8.1億円と比較してやや小粒だ。最近では、2018年に経営破綻した米小売り大手「シアーズ」跡地への出店を進めている。


上の動画はYouTube上にあるラウンドワンに関する非公式の紹介動画だ。アーケードゲームやコイン崩し、クレーンゲームなど日本で人気のゲームが遊べることが分かる。

利益率は国内事業に匹敵するまで改善。アジア展開も視野に

ここまで店舗数や売り上げの観点で米国ラウンドワンを見てきたが、事業として重要なのは利益が上がっているか。その点で言ってもラウンドワンは健闘している(図5)。利益率は年々改善しており、2019年3月期の経常利益率8.9%は国内事業の11.5%に近い水準だ。

図6: ラウンドワン2019年3月期決算説明資料より

今後もさらなる改善が見込まれる。米国の店舗はまだ出店から日の浅い店舗が多い。出店1年目には、初期投資額の回収が費用に加算されるため利益率が低くなる。また、リース費用の償却期間は7年となっており、8年目以降はリース料負担が軽減されるために利益率がさらに向上する。ラウンドワンの試算(図6)によると、米国では出店2~7年目の平均店舗の営業利益率で20.0%となっており、これは既存の国内店舗よりも高い数字だ。

ラウンドワンは今後も海外展開を積極的に進めていき、やがては海外売上・利益がメインの会社となっていきそうだ。その根拠は大きく以下の二つ。

ひとつは米国でのさらなる拡大。米国市場はまだまだ開拓の途上にある。ラウンドワンは出店条件として「半径5マイル(約8㎞)以内に15万人以上」「半径10マイル(約16km)以内に40万人以上」などの条件を掲げている。そのうえで会社側は「150店舗程度までを目途に出店を進めていきたい」としている。

国内店舗数が約100店舗であることを考えると、150店舗というのは国内を大きくしのぐ規模である。1店舗あたりの規模が国内より小さいことを踏まえても、売り上げ規模は国内よりも米国の方が大きくなるだろう。

もうひとつは米国以外の海外展開だ。19年3月にラウンドワンは中国・ロシア・その他アジア地域への出店準備を開始したことを発表した。詳細について発表はないが、米国での経営が軌道に乗ったため展開地域を拡大する戦略を本格化させたのだろう。

一口に海外と言っても米国とロシア、中国では規制や娯楽文化など含めて不透明な部分も多い。これからラウンドワンは海外展開を加速させることができるのか。今後の展開に目が離せない。

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